国際労働運動vol.55-新型肺炎とアメリカの医療破壊

国際労働運動vol.55『新型肺炎とアメリカの医療破壊』を発行しました。全国の書店で発売中(500円+税)。

羅針盤/オリンピックは中止しかない

新型肺炎とアメリカの医療破壊
■新型肺炎感染の世界的拡大の原因は圧政
■新自由主義は医療を食い物にし破壊した

Ⅰ 公的医療制度を解体し私営化
――新自由主義のメイン・ターゲットに
世界を「リードする」米の医療破壊/80年代からの「新自由主義グローバル化」/医療以前の問題――インフルエンザで年間3万の死者/「自己責任」のイデオロギー/純粋な営利――アメリカ型医療の現実/生物特許の導入/膨大な無保険者と半無保険者

Ⅱ サンダースの背後に革命情勢
――国民皆保険制度導入は全人民の要求
米大統領選(予備選)はペテン師の祭典/アメリカは世界最大の非民主的な国家/バーニー・サンダースのペテン/サンダースの「社会主義」「革命」/メディケア・フォー・オール

Ⅲ 全米覆う巨大ストライキの波
――ウェストバージニアで始まったスト
炭鉱主の独裁王国で学校スト/ロサンゼルス統一教組の大ストライキ/カリフォルニア大学のストライキ

News & Review
◆ドイツ/政治的激動下で危機深まるドイツ経済
◆日本/日本共産党大会と改定綱領の批判
◆香港/医療労働者9千人がストライキ

■社会保障解体と闘う(41)都立病院の独法化を許すな

■マルクス主義・学習講座
『ドイツ・イデオロギー』(第7回)

(一部内容紹介)

新型肺炎とアメリカの医療破壊
■新型肺炎感染の世界的拡大の原因は圧政
■新自由主義は医療を食い物にし破壊した

はじめに

新型コロナウイルス感染の拡大は、圧政の結果だ。
2月7日、武漢の李文亮医師が肺炎で死亡した。昨年末に新たな感染症の発生を警告し、公安当局に「インターネットに虚偽を掲載した」として弾圧された医師たちの一人だ。
中国は、「労働者の国家」を名乗っているが、それとは正反対のスターリン主義国家だ。現場で働く労働者が独自の意見を持つことを否定する。労働者の意志によって社会を運営することを否定する。当局と別の意見を発表するなど、あってはならないことなのだ。この武漢医療現場からの声の圧殺によって、ウイルス感染はたちまち拡大した。
極右の安倍政権は、それをさらに拡大している。早くから出されていた医療専門家の意見を圧殺し、クルーズ船ダイヤモンド・プリンセス号を、第二の武漢にしてしまった。主要国のなかで最低の医療システムの国、アメリカからさえ対応のひどさを批判されている始末だ。安倍政権は、全国的に感染が広がるなかでも、ウイルス検査に制限をかけ続けた。国家の規模も、検査施設も日本より小さい韓国と比べてもはるかに少ない検査しかしていない。「検査を抑えているのは、オリンピック開催のため、感染数を少なく見せたいからではないか」という批判、そして「コロナウイルスを国家緊急事態条項のための実験場に」という伊吹発言への批判が高まったために、ようやく2月28日、ウイルス検査に保険適用を認めるに至った。
感染症対策のためにクルーズ船に乗り込んだ厚生労働省の職員さえ、症状が出たあとでもウイルス検査を受けずに通常通りに出勤し続けていた。それほどまでに、ウイルス検査を申し出ることには高いハードルを設けていたということだ。
こうした問題の基底には、さらに大きな問題がある。日本軍731部隊や米軍の放射線物質注射実験を始めとした悪逆非道を尽くした組織が、医療を今なお支配している。731部隊、ハンセン病患者の迫害、薬害エイズ、福島、コロナ、すべてつながっている。
それは、新自由主義の40年間、特にその後半の20年間に急速に非正規職化が推進されて、過労・健康生活破壊を強いられた労働者が大量に生み出されたことだ。労組破壊と労働者の権利破壊によって、正規職の労働者でも、熱を出しても出勤しなければならないという職場の関係がつくり出されてしまった。そして、医療破壊、病院の廃止・統合などが進められたことだ。病院廃止が行われていなければ、武漢からのチャーター便帰国者は、勝浦の観光ホテルではなく、病院で世話できたはずだった。
こういうことをアメリカ帝国主義が開始し、それに日本帝国主義などが対抗して相互に促進していった。新自由主義のグローバル化だ。本号では、それを次のように解明していく。
第Ⅰ章では、新自由主義が標榜する「小さな政府」が、公的な医療制度の解体――医療の私営化であることを明らかにする。医療破壊は、「新自由主義が破壊した多くのものの一つ」ではない。医療は、新自由主義のメインターゲットだった。
第Ⅱ章では、現在のアメリカ大統領選挙の争点が、公的な国民皆保険制度の導入問題であることを見ていく。アメリカは、世界でも数少ない「皆保険制度が存在しない国」だ。アメリカ人の圧倒的多数が皆保険制度を支持しているのに、なぜそれを公約に掲げる候補が「リベラル派」メディアにもバッシングされるのか、アメリカ帝国主義の支配構造から明らかにする。
第Ⅲ章では、ウェストバージニア州の全州学校スト、UTLA(ロサンゼルス統一教組)の大ストが、食糧・医療など地域全体の切実な課題に取り組み、団結をつくり出したことを見ていく。