序局第19号-改憲阻止闘争の本番

序局第19号を発行しました。全国の書店で10月3日発売予定(900円+税)。

改憲阻止闘争の本番/闘う労働組合の挑戦

巻頭論文は改憲決戦論に挑戦、切っ先鋭く安倍と対決しています。黄瑛(ファンヨン)論文は朝鮮戦争をめぐる研究と討論のための問題提起。金元重(キムウォンジュン)さんの論考は自らの体験に根ざした感動的な一文です。
「闘う労働組合の挑戦」として、乗務員勤務制度解体攻撃と闘う動労千葉の川崎書記長、不当労働行為を地労委に申し立てたセブンイレブンの河野さんの2人から、お話を伺いました。教訓に富んだ、本号のハイライトです。
寄稿していただいた、オリンピック反対論、星野闘争アピール、牛久入管収容所との闘いのレポートも重要です。袴田再審とオウム大量処刑について警鐘を鳴らす論文と、福島放射能安全論を批判する論文も興味深い内容です。葉山岳夫弁護士は連載3年間の締めくくりです。
(破防法研究会『序局』編集委員会)

 

さあ改憲阻止決戦へ 安倍の自衛隊明記案は「9条殺し」だ 黒島善輝

闘う労働組合の挑戦
JR東日本の職場で何が起こっているか 乗務員勤務制度解体攻撃と東労組崩壊情勢
国鉄千葉動力車労働組合 川崎昌浩書記長に聞く
ブラック企業セブンイレブンと対決する
コンビニオーナーも労働者だ/労働組合のもとに団結しよう
不当労働行為を長野県労働委員会に申し立てた
河野正史さん(千曲ユニオン副委員長)

朝鮮戦争とは何だったのか――ブルース・カミングス『朝鮮戦争の起源』を読む 黄  瑛 ファンヨン

ドキュメンタリー映画『自白』の詩と真実 ロウソク革命を予兆する韓国ジャーナリストの闘い 千葉商科大学教授 金 元 重 キムウォンジュン

「国民」総動員の東京オリンピックに反対する 君が代不起立被処分元教員 根津公子

星野文昭さんを今こそとり戻そう 星野さんをとり戻そう!全国再審連絡会議共同代表 戸村裕実

入管収容施設の人権侵害を許さない 牛久入管収容所問題を考える会 田中喜美子

モラル司法の凡庸な悪とポピュリズム 袴田再審取り消しとオウム教団大量死刑執行の闇関東学院大学教員 宮本弘典

福島原発事故による放射能汚染の健康影響はほんとに軽微なのか? 広島大学名誉教授 大瀧 慈

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白井佳夫の現代映画論講座《第二部》 赤狩りで喚問され同志を売った映画監督エリア・カザン〈その4〉

獄中記 十亀弘史

労働者農民とともに歩んで60年 三里塚と動労千葉
三里塚反対同盟顧問弁護団事務局長・動労千葉顧問弁護団長・救援連絡センター代表弁護士 葉山岳夫弁護士に聞く 最終回 救援運動と弁護士活動

福島原発事故による放射能汚染の健康影響はほんとに軽微なのか?

原爆被爆者研究の結果に基づく考察

大瀧 慈 広島大学名誉教授

キーワード:急性放射線障害,原爆被爆者,後障害,セシウムボール、潜伏期間,内部被曝, 放射性微粒子

 

【本誌の「福島原発事故による放射能汚染の健康影響はほんとに軽微なのか?」(広島大学名誉教授 大瀧 慈)の論文で省略した引用文献を付した全文を掲載します】 

1. はじめに

福島原発事故から7年半が経ち,事故故由来の放射能関連による健康被害の発生の有無について多くの関心が持たれている。これまでのところ,小児甲状腺疾患のみが注目を集め状況である。小児甲状腺のがんや前がん病変の有病率や罹患率が福島県内で事故後の調査で異常な高値が観察されたことで,事故由来の放射線被曝(131I)との因果関係の有無が検討されているが,その決着には至っていない。1),2),3),4) 甲状腺がんを含めて放射線被曝による後障害としてのがん罹患の危険度の超過発生の時期や程度については,広島・長崎の原爆被爆者に対する研究結果が参考になると思われる。図1は,原爆被爆者における悪性腫瘍の発生(罹患)時期を部位別に示したもので,被爆後47年を経た1992年に放射線影響研究所によるLSSコホート研究に基づいた結果として発表されたものである。5) それによると,最も早期に超過危険度が観察されたのは白血病であり,被爆後3年から増加がみられ被爆後10年辺りで極大に至りその後漸減しつつも現在に至るまで非被爆者よりも高い危険度が続いている。次に早い時期に超過危険度が観察されたのが甲状腺がんで,6年頃から上昇が始まりその後10年以降に顕在化が起こっていた。次いで,乳がんや肺がんが被爆後10年頃から上昇し20年以に超過危険度が明確になっていた。さらに,胃がんや大腸がんも被爆からの経過時間が20年辺り頃から徐々に増加していた。要するに,部位によって長短はあるものの,超過リスクの発現が確認されるまでには,被爆から5年から数十年といった長い時間(潜伏期間や前臨床期間を含む)が必要なのである。6)

本論文では,第2節において,広島・長崎の原爆被爆者の放射線被曝による健康影響について,初期被爆線量では説明できない諸々の観察結果を紹介し,それらの背景に放射性微粒子による内部被曝が密接に絡んでいることを示す。第3節では,放射性微粒子被曝について,被曝線量(率)の分布の特徴を明らかににするために行った数値実験の結果を紹介し,被曝者の健康影響への危険性を論ずる。第4節では,福島原発事故による放射能汚染の実態に関する調査結果を紹介し,放射性微粒子被曝の存在が示唆されていることについて言及する。

図1.原爆被爆者における腫瘍の発生時期(原爆放射線の人体影響 1992からの転写)

2. 原爆被爆者における放射線被曝による健康障害

2.1 初期放射線量だけが評価対象の被爆線量(DS86/DS02)

広島・長崎の原爆被爆者における後障害による死亡危険度と被爆線量との線量反応関係については,放射線影響研究所(以下,放影研),広島大学,長崎大学による大規模コホート研究により検討されてきた。7),8),9) これらの研究で使用されている被爆線量はDS02やDS86と呼ばれている初期放射線(原爆を表すピカドーンのうちのピカ)のみに基づいた線量評価システム10),11)を用いて算出されており,残留放射線や放射性降下物への曝露による影響は無視されている。 これまでに報告されている研究によれば,原爆被爆者のうち遠距離被爆者や入市者の場合に推定されている放射線量は高々数十mGyであるということになっている. 12) その一方,原爆被爆者における急性放射線障害(以下,急性症状)の発症やがん罹患(死亡)危険度が初期被爆線量だけでは説明できないことについて, 調査・研究も多数報告されている。 13),14),15),16),17),18) これらの報告に対して,大多数の放射線生物学や保健医学の専門家は「この程度の低線量放射線被曝が,急性症状発症の頻発やパーセントレベルのがん死亡超過危険度の原因になるとは考え難い」と判断しているようである。

2.2 染色体異常頻度を説明できない被爆線量

放射線影響研究所より2001年に,原爆被爆者におけるリンパ球での安定型染色体異常と被爆線量(DS86)との間に明確な線量反応関係が報告されている。19) 同論文によると, 対象はLSSの部分集団(広島と長崎のそれぞれ1980人と1062人,計3042人)で,染色体異常細胞検査は,1968年から1990年の期間に行われている。その調査・解析の結果として,線量反応関係は低線量域では広島の被爆者および長崎の被爆者のいずれでもほぼ直線関係を示し, 勾配に関して広島(6.6%/Sv増加)の方が長崎(3.7%/Sv増加)に比べて約2倍大きくなっていること,また,同じ線量の場合でも屋内被爆の方が屋外被爆に比べて染色体異常細胞の頻度が20%以上高いことが報告されている。(図2参照)

図2.原爆被爆者の染色体異常を持つ細胞の頻度に関する被爆状況別被爆線量(DS86)依存性(引用元論文19掲載のFig. 3から読み取り再構築された図)

 

この染色体異常頻度における線量推定システムDS86による被爆線量に関する線量反応関係の被爆状況依存性の原因が,DS86線量システムの持つ構造的偏りにあるものとすると, 屋内被爆の場合, 29%程度線量が低く見積もられていることになる。このように大きな偏りが生じてしまった原因は何なのか?この問題に対する解を見つけるには,

1)初期線量は屋根や壁による大きな遮蔽効果が見込めるが,非初期線量による曝露の場合は同様な効果は期待できない,

2)DS86は初期線量のみを評価の対象としている,

という2つの事実に着目すべきである。この観点に立って大瀧らは2015年に,広島原爆投下当日の入市状況とその後の急性症状発症に関係について少年兵士集団を対象としたアンケート調査(有効回答数64名)を行った。統計解析の結果,同集団における急性症状発症や後障害発症には放射性粉塵の吸飲による内部被曝が強く関わっていたことが示唆された。20)

上述の染色体異常率調査になった原爆被爆者においては,放射性微粒子の吸入により大きな内部被曝があったにもかかわらず,DS86(本質的にはDS02も同じ)では非初期線量の影響の存在を無視してしまったことだけでなく,初期線量に関する遮蔽効果による線量の低減処理を機械的に適用されてことで,放射線の真の被曝線量から大きく外れてしまったものと想われる。現在使われている被爆線量DS02では放射線のヒトの健康影響を正当に評価できていないと言わざるをえない。

2.3.原爆被爆者が受けた内部被曝の曝露源

原爆被爆者が受けた内部被曝の曝露源の本体はどんなものであったのか?これまで得られている知見と放射性核種の放射能の半減期の長さに関する情報を突き合わせて検討した結果として,2つの放射性核種,56Mn(半減期は2.6h)および28Al(半減期は2.2min),が本質的な因子として浮かび挙がった。21),22),23) 半減期がもう少し長い24Na(半減期は15.0h)の影響も否定できないが,入市被爆者の入市日別固形がん危険度の変化を推定した結果,8月9日入市者に比べて8月6日入市者における超過相対危険度が20%近い高値であったのに対して,翌日及び翌々日の同危険度はそれぞれ数%の水準にまで低下していたことが明らかにされている。15時間という(半日を超える)半減期を持つ24Naによる被曝の重大な影響が在ったとは考え難い。なお,身近な環境中に28Alの半減期よりも長く56Mnの半減期よりも短い半減期を持つ放射性核種は存在しない。24),25) 広島原爆の場合, 28Alや56Mnを含んだ微粒子が,いわゆるHot particle効果26),27)を引き起こし,急性症状や染色体異常の危険度を高くしていたことが考えられる。

図3.広島原爆の被爆者におけるがん死亡の超過の原因となった主な放射性核種微粒子の発生および飛散に関する想定機序

原爆炸裂直後の爆心地付近では土埃で太陽光が遮断され暗闇になったとの多数の報告がある。28) これらの放射性微粒子は,爆心地近傍にあった日本家屋の土壁や屋根瓦の下に敷かれていた粘土に含まれていた安定型の元素55Mnおよび27Alが原爆から放出された中性子を受けて放射化し生成されたものと考えられる。12),24) それらの微粒子が衝撃波と爆風により一瞬にして空中に舞い上がり拡散(一部は上空の風に運ばれて飛散)したのであろう。28Alは半減期が短いために作用時間はほぼ20分間に収まるので,その影響は爆心地近傍(1.2km以内程度)に限局されたはずである。一方,56Mnは原爆炸裂の5時間後でも約1/4の放射能の強さを保持していたために,直接被爆者だけで無く遠距離被爆者(早期入市者や救護者を含む)までも巻き込み曝露影響を及ぼしたと考えられる。13),14),17),18),20) (図3参照) なお,染色体異常率データから推定された被爆線量で都市間差として広島の方が長崎に比べて21%(=1/1.26-1)過小評価されているが,その背景要因としては, 爆弾の特性,街の形状, 爆心地の位置, 爆心地付近の植生, 爆弾投下当時の気象条件の違いで, 曝露物質の生成量や飛散分布の違いにより生じたものと想像される。

 

3.放射性微粒子による内部被曝

3.1 微粒子の摂取と体内沈着特性

ゲイサーらは,放射性微粒子の体内への取り込みが主に呼吸によるものであり,粒径などの属性により吸収過程や体内での循環状況が大きく変化することを報告している。29) それによると,鼻呼吸の場合,粒径が1~5μm の粒子では約50%が気管気管支領域に滞留し,残りの50%は肺胞領域に到達する。5~6μm より大きな粒子は90%が鼻腔内に捕捉され,10~20μm の粒子が気管・気管支まで達することは少なく,10μm 以上の粒子は肺胞レベル には沈着しない。一方,口呼吸においては粒径が 1~5μm の粒子の40-60%は肺胞レベルに沈着1~10μm の粒子の約60-80%は細気管支レベルに沈着し,10~20μm の大きな粒子の95%以上が気管・気管支に沈着するとのこと。なお,健常成人では,鼻呼吸の頻度が高く呼吸の割合は約13%と少ないが,下気道に達する粒子数は口呼吸の場合に増加する。

図4.放射性微粒子による被曝のイメージ

 

3.2 放射性微粒子被曝による放射線は測定が困難

体内に沈着した放射性微粒子からの放射線(γ線)による内部被曝の空間分布を定量的に把握するために, m個の放射性微粒子が1辺1cmの立方体の臓器の内部に一様に吸着している状況を想定し,固定点における線量率に関して数理モデルを用いて, 図5に示すような臓器内部, 臓器表面,皮膚表面および体表から11cm付近の体外を評価領域として設定し,線量率の分布に関するシミュレーションを行った。

図5. 放射性微粒子吸着による内部被曝の場合の被曝線量率の3D分布評価のための設定

図6. 内部被曝による線量率の測定点依存性(シミュレーションによる結果)

 

シミュレーヨン結果より,臓器内部での放射線量率は,評価点の位置により大きく変動(不均質性大),臓器表面では,臓器内部の値の約50%,皮膚表面では20%,外部(皮膚表面から10cm)では,1%未満に低下することが判明し, 体外の測定器では,放射性微粒子による内部被曝の検出はほぼ不可能であることが分かった。(図6)

 

3.3 放射性微粒子は局所的な超高線量被曝を起こす要因

臓器での平均線量率は同じでも,放射性微粒子の個数が少ない(この場合,個々の微粒子の持つ放射能は高くなる)場合と,その反対に放射性微粒子の個数が多い(個々の微粒子の放射能は低い)場合で,放射線の線量率の分布がどのように変化するのかという問題について,ベクレル数を一定にした場合の数理モデルを設定し,放射性微粒子の個数を として,臓器内部を評価領域とした線量率分布に関するシミュレーションによる検討を行った。その結果,微粒子の個数(m値)が小さい場合,0.01%程度の細胞では,組織平均線量率の数十倍~数百倍の線量率のガンマ線の被曝を受けていたが,上側20%点付近の線量率値は微粒子の個数(m値)の大小にかかわらずほぼ一定であった。微粒子個数(m値)を大きくしていくと,組織平均線量率はm値の大小にかかわらずほぼ一定となっていた。

外部被曝の場合,被曝に関する事前情報が把握できていれば,遮蔽や曝露回避が容易,被曝線量評価がし易い。一方,内部被曝の場合は遮蔽や回避が容易でなく,外部線量計測システムを使用して,内部被曝線量を形式的に行ってしまうと桁違いに線量(率)を過小評価してしまうことになる。一般に,内部被曝は低線量被曝と思われているが,放射性微粒子の吸飲が絡んでいる場合には,局所的に超高線量被曝の状態になっている。ただし,その生物学的影響については現在未解明であり,動物実験による検討が始められたばかりである。30),31)

 

 4.福島原発事故による放射能汚染の実態

4.1福島原発事故による放射能汚染の原因核種の特徴

福島第一原発事故に起因した放射能汚染は,原子炉内で発生した放射線(ガンマ線や中性子)を直接被曝したことによるものではなく,事故発生時に原子炉内で生成されていたいわゆるセシウムボールなどの放射性物質の微粒子が環境中に放出され広範囲の大気や土壌に拡散されたことによるものである。32),33)  その主な原因核種と半減期について,原爆被爆者の受けた放射線曝露や放射性微粒子汚染曝露の場合との対比としてまとめると,以下のようになる。

 

広島原爆による放射能汚染の特徴

ピカ (γ線,中性子線)および ドーン

ドーンに含まれていた主な放射性核種

28Al アルミニウム (半減期2.2分)

56Mn マンガン56 (半減期2.6時間)

24Na ナトリウム24(半減期15時間)

 

福島原発事故による放射能汚染の特徴

ピカは無い,ドーンのみ

ドーンに含まれていた主な放射性核種

131I  ヨウ素131 (半減期8日)

134Cs セシウム134 (半減期2年)

137Cs セシウム137 (半減期30年)

 

福島原発事故で問題になっている放射能汚染の原因核種は,広島・長崎の原爆被爆者が受けたものよりも,はるかに長い半減期を持っていることを留意すべきであろう。

4.2 空間放射線量率と土壌放射能汚染に関する調査・分析

原発事故後に朝日新聞の朝刊で公表された飯舘村(浪江町)と福島市のデータの放射線線量率の実測値と平滑化値(実線の折れ線)を図7に示す。34) また,同図中の破線は,半減期モデルのみを用いて推定された放射線線量率の値を示している。 飯舘村の測定値は,この半減期モデルのみでほぼ説明できているが,福島市の測定値は,半減期モデルで推定される値よりもかなり速く減少していることが示されている。この期間辺りで福島市などの都市部で集中的に行われた除染の効果が反映されているものと想われる。

図7.福島原発事故後の福島市と飯舘村で測定された空間放射線線量率の経日変化

 

福島第一原発事故の約3ヶ月後である2011年6月4日~7月8日の時期に,福島県およびその周辺地域を対象として,福島第一原発から80km内で2kmのメッシュ地点(計2181地点)での土壌の放射能汚染および空間放射線線量率の実態調査行われた。35)

図8. 福島県近傍の土壌放射能汚染と地上での空間放射線量率の地理分布

 

その分析結果として,図8の左図に,福島の土壌の放射能(セシウム)汚染( の値の常用対数値)の分布状況を示す。土壌汚染の地理分布の特徴として,事故原発周辺およびその北西近隣地区では を超えていた。その放射能汚染の範囲はかなり広く,事故原発から北西30km辺りの位置している飯舘村でも 程度となっていた。また, 程度の汚染は福島県のほぼ全域に及んでいた。

右図は,福島県および周辺地区における地上1mの高度での空間放射線量率( の常用対数値)の地理分布を表す。そのパターンの概要は土壌汚染の地理分布と類似しているが,高い放射線量率の領域は事故原発付近およびその北西近傍に限局した分布をしていることが分かった。さらに詳しい空間放射線量率やセシウムおよび放射性ヨウ素の土壌汚染調査結果については,大阪大学より汚染地図としてURLで公表されている。なお,福島原発事故前の日本全国の自然空間放射線量率地図は今井によりURL上に公表されているので参照されたい。36)

図9. 福島県およびその近郊における土壌の放射能汚染状況の将来予測(超過減少率を1%/年とした場合)

 

上記の調査結果とセシウム放射能の半減期の長さを基にして,今後200年に亘る福島県(およぼその近隣地域)での土壌の放射能汚染度に関する予測を試みた。なお,除染処理や風雨による域外拡散による減少率を1%/年として予測値を算出している。図9にその結果を示す。この地域の大部分では,原発事故前の放射能汚染水準に比べて1000倍以上の汚染が世紀を超えて続くことが判る。

 

4.3 放射性微粒子の空中飛遊の傍証

空間放射線量率は直下の土壌の放射能汚染濃度の影響を受けているものであり,両者間の正相関は事前に想定されていたものである。しかし,今回の調査結果から,降雨状況が強く関わっているという想定外の実態が明らかになった。 図11に,土壌のセシウム濃度と空間放射線量率の相関図を両対数プロットとして示す。青い円型マークは降雨有りの地点での観察値を示し,緑色の三角型マークは降雨無しの地点での観察値を示している。この図より,降雨が有った地点での相関係数が0.80であり,降雨が無かった場合の相関係数の0.53に比べて高いことが得られた。37) 降雨が無くある程度の風が吹いていた日の場合には,近隣の放射能汚染のより高い周辺地区からのセシウムボールなどを含む汚染微粒子の飛来物を受ける危険があったことや, 降雨が有る日の場合には汚染された微粒子が比較的短時間の内に地上に雨滴と共に落下することで,放射能汚染物質の遠方への拡散の抑制があったことなどが推測される。空間放射線量率の約20%~30%程度は直下の放射能汚染では説明できず,直下の放射能汚染のみを対象とした除染による空間放射線の低減効果に限界が有ることになる。

図10. 福島県での地表土壌のセシウム濃度と地上1mでの空間放射線量率との相関図

 

5.おわりに

 環境中の空間放射線が低下したことで,日本政府は帰還困難地域以外の元住民に対して,早期に帰還するように勧めている。これに対して,医学研究者も含めた専門家からの異論が活発に発信されているような状況でもない。しかし,その根拠になっている放射線の線量にはセシウムボールなどの放射性微粒子による内部被曝由来のものは反映されていない。また,広島・長崎の原爆被爆者に基づいた放射線の健康リスク評価にも(重大な)欠陥があることを示唆するデータが取得されており,全面的な見直しが必須であるが,本格的な再検討は未だ始められていない。昨今行われている根拠の曖昧な安全宣言を基づいた無責任なリスクコミュニケーションや帰還推進は慎むべきと思われる。

 

文献

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  7. 松岡 理: 放射線量の不均等分布とその生物効果–Tamplinのホットパ-ティクル提案をめぐって, Radioisotopes, 25, 659-669, 1976.

28. 朝日新聞社: 広島・長崎の記憶 -被爆者からのメッセージhttp://www.asahi.com/hibakusha/hiroshima/h00-00071j.html

  1. Geiser M, Im Hof V, Schurch S, et al. Structure and interfacial aspects of particle retention. In Gehr P, and Heyder J, eds. Particle-lung interactions. Marcel Dekker,New York, 291-322, 2000.

30. Stepanenko V, Rakhypbekov T, Otani K, Endo S et al. : Internal exposure to neutron-activated 56Mn dioxide powder in Wistar rats: part 1: dosimetry, Radiation and Environmental Biophysics, 56, 47-54, 2017. doi: 10.1007/s00411-016-0678-x.

31. Shichijo K, Fujimoto N, Uzbekov D et al.: Internal exposure to neutron-activated 56Mn dioxide powder in Wistar rats—Part 2: pathological effects, Radiation and Environmental Biophysics, 56, 55–61, 2017. doi: 10.1007/s00411-016-0676-z.

32. Adachi K, Kajino M, Yuji Zaizen Y, Igarashi Y: Emission of spherical cesium-bearing particles from an early stage of the Fukushima nuclear accident, Scientific Reports 3, Article number: 2554, 2013. doi: 10.1038/srep02554.

  1. Imoto J, Ochiai A, Furuki G, Suetake M et al.: Isotopic signature and nano-texture of cesium-rich micro-particles: Release of uranium and fission products from the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, Scientific Reports 7, Article number: 5409, 2017. doi:10.1038/s41598-017-05910-z.
  2. 大瀧 慈,大谷敬子,冨田哲治,佐藤 健一: 福島第一原子力発電所事故後の東日本での空間放射線量率の時空間分布, 日本統計学会誌, 第42巻, 91-101, 2012.
  3. 谷畑勇夫: 福島土壌調査 2011,http://www.rcnp.osaka-u.ac.jp/dojo/.
  4. 今井 登: 日本の自然放射線量 2011,

http://www.geosociety.jp/hazard/content0058.html.

  1. 大瀧 慈, 大谷敬子, 今中哲二, 遠藤 暁, 星 正治: 東京電力福島第一原子力発電所近隣地域における空間放射線量率と直下土壌の放射能汚染度との関連について, 統計数理,第61巻, 247-256, 2013.

国際労働運動vol.37-世界大戦の道 トランプ貿易戦争

国際労働運動vol.37『世界大戦の道 トランプ貿易戦争』を刊行。全国の書店で10月3日発売予定(500円+税)。電子書籍版も近日発売(AmazonKindle、400円)。

世界大戦の道 トランプ貿易戦争
■世界を破壊する米中制裁・報復合戦
■羅針盤/安倍の改憲・戦争阻止する大行進を

はじめに
Ⅰ 世界覇権めぐる米中貿易戦争
――米帝の没落と中国の台頭
【1】貿易戦争の放火者はアメリカ
⑴ トランプ通商政策が18年本格発動
⑵ 中国との「合意」を踏み破る米国
⑶ 南北朝鮮首脳会談、米朝首脳会談と一体の過程
⑷ 通商と軍事―米韓FTA再交渉
⑸ 自動車・部品に追加関税を課す輸入制限を検討
【2】米帝の没落と戦後体制の破壊
⑴ 世界大恐慌の進展・激化としてついに貿易戦争が火を噴いた
⑵ 貿易のラセン的縮小と世界経済の収縮の始まり
⑶ 中国の全面的屈服を要求
⑷ ハイテク(先端技術)分野での攻防
⑸ 通商問題と軍事問題の一体性
⑹ 世界支配をかけた対立
【3】帝国主義同士の激突へ
⑴ WTOの枠組みを破壊
⑵ EUとの対立の表面化

Ⅱ 自動車をめぐる日米争闘戦――日帝最後の生命線=自動車産業
⑴ 日帝製造業の衰退と自動車産業
⑵ 海外市場への依存深める自動車産業
⑶ 自動車めぐる日米争闘戦
⑷ 国家的争闘戦として激化

Ⅲ 戦争・改憲を阻止しよう――自民改憲案の国会提出を許すな
⑴ 帝国主義の戦後世界体制
⑵ 帝国主義規定を解体する日本共産党
⑶ 改憲阻止・日帝を打倒しよう

News & Review
ヨーロッパ/トランプの戦争政策と西欧帝国主義

■社会保障解体と闘う(27)シェアハウス投資の破綻

●学習論文
第一次世界大戦突入時のドイツ階級闘争(下)

■マルクス主義・学習講座
一から学ぶ『共産党宣言』(第3回)

(一部内容紹介)

はじめに

青年・学生を先頭に、労働者人民の未来をかけて改憲阻止決戦の壮大な爆発をかちとろう。
臨時国会での発議を狙う安倍の改憲案は、新たな条文としての「9条の2」を新設することで、現行9条を解体し、もって9条を柱に成り立っていた憲法体系全体を自衛隊と戦争を主語としたものへと180度転換させるものである。そして、憲法と同時に、階級的力関係をひっくり返し、自衛戦争の名による侵略戦争、軍事力による勢力圏獲得戦への歯止めを取り払おうとしている。
それは何よりも、目の前で進行している資源・市場・勢力圏をめぐる争闘戦と、切迫している朝鮮戦争情勢に、必死にかみこみ、主体的に参戦することをかけたものである。日本帝国主義(日帝)・安倍政権は、歴史的にも現在的にも、戦争のできない帝国主義、核兵器を持たない帝国主義として、重要な政治・外交過程から弾き飛ばされている。
日帝が存立基盤としてきた戦後世界体制の最後的崩壊と争闘戦・戦争の時代への突入の中で、その危機性は極限的になっている。そこからの突破と死活的飛躍をかけて、安倍政権は改憲攻撃に必死に突き進んでいるのだ。ゆえに改憲阻止は日帝打倒以外には決着のつかない闘いだ。
こうした日本帝国主義の危機性をつかむためにも、争闘戦・戦争の時代の全体像を明らかにするものとして、米中を軸に勃発している貿易戦争に焦点を当てる。
第Ⅰ章は米中貿易戦争についての分析である。貿易戦争は完全に1930年代的様相に発展し、戦後史を画する事態へと進展している。その核心はアメリカ帝国主義(米帝)の没落であり、トランプ政権が国家の存亡をかけて非和解的な通商政策を開始したということだ。戦後世界体制の破壊者として登場し、世界を分裂・対立・争闘へとたたき込んでいるのである。
それは、米中の対立として始まっているが、米欧日の帝国主義同士の激突へと発展していかざるをえない。そのことが、鉄鋼関税の発動と自動車関税の検討で表面化した。
この点を第Ⅱ章で、自動車産業をめぐる世界的争闘戦として明らかにしている。それは世界市場の争奪戦と覇権争いであり、資本と国家を貫くつぶし合いの時代への突入である。何よりも自動車産業は日帝の存在を左右する唯一無二の生命線であり、ここでの争闘戦の非和解的激化は日帝を絶望的危機にたたき込んでいる。これこそ安倍改憲攻撃の根底にあるものだ。
こうした米中貿易戦争と帝国主義間のむき出しの対立、世界戦争の時代への突入を明らかにすることが本稿の主目的である。
その補足として第Ⅲ章で、戦後世界体制について若干、基本的考え方を述べておいた。現在の社会体制は「資本主義の最高の発展段階」としての帝国主義である。戦後世界体制とは、大恐慌と世界戦争という破局を引き起こしながら、革命運動を圧殺したスターリン主義の存在によって延命した帝国主義が、米帝を唯一絶対的な基軸国とすることによってかろうじて成立した体制だ。戦後世界体制の崩壊こそ、階級闘争が戦争と革命の激突となる時代への突入だ。歴史選択をかけた闘いとして改憲阻止決戦に立ち上がろう。

 

国際労働運動vol.36-改憲・戦争を絶対阻止しよう

国際労働運動vol.36『改憲・戦争を絶対阻止しよう』を刊行。全国の書店で発売中(500円+税)。電子書籍版も発売中(AmazonKindle、400円)。

改憲・戦争を絶対阻止しよう
《総特集》
■今秋臨時国会での改憲発議を阻止
■改憲・戦争する国の再来許さない
■共産党の「自衛戦争」論を批判する
■改憲・戦争阻止!大行進を全国各地に
■「繰り返すな戦争シリーズ」を学ぼう

はじめに
第1章 今秋臨時国会での改憲発議を阻止
――安倍の9条改憲案を徹底的に批判する
⑴ 杉田水脈発言を弾劾する
⑵ トランプの戦後秩序破壊の暴挙
⑶ 戦争のための9条改憲
⑷ 安倍の9条改憲案=「9条の2」新設
⑸ 改憲阻止・日帝打倒を
第2章 改憲・戦争する国の再来許さない
――労働運動再生し、安倍政権を打ち倒そう
⑴ 改憲先取り、自衛隊再編と軍備増強
⑵ 国とは安倍のこと、モリカケの真実
⑶ 治安維持法の再来=共謀罪許すな
⑷ 労働者の戦争動員を拒否しよう
⑸ 改憲と一体の「働き方改革」弾劾
⑹ 連合の改憲勢力化・野党の翼賛化
第3章 共産党の「自衛戦争」論を批判する
――日本もアメリカも「帝国主義ではない」
第4章 改憲・戦争阻止!大行進を全国各地に
――産別・戦線に拠点を
国鉄―動労千葉、教育労働者、自治体労働者、
全学連、星野闘争
第5章 「繰り返すな戦争シリーズ」を学ぼう
――改憲阻止闘争の歴史的意義
―その実相に迫る―
①戦慄の記録 アジア・太平洋戦争
②今も終わっていない朝鮮戦争
③イラク戦争 デマねつ造し開戦
―憲法をめぐる激突―
①戦後革命の中で生まれた9条
②戦後憲法と日米安保は一体
③国家緊急権は戦時体制づくり

安倍首相は、9月の自民党総裁選で3選を果たし、秋の臨時国会で、憲法改悪の国会発議に踏み込もうとしている。今秋が改憲阻止の大決戦になる。1000万人の決起で阻止しよう。
自民党憲法改正推進本部は「改憲4項目」を掲げている。重大な項目は9条改定と「緊急事態条項」。9条改定はこれまでの9条1項(戦争放棄)と2項(戦力不保持、交戦権否認)をそのまま残した上で、「9条の2」を新設し、「前条の規定は……自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として……自衛隊を保持する」と自衛隊を明記して前条を全面的に否定するものだ。
そして「緊急事態条項」の新設がある。これは、戦前の「戒厳令」の復活であり、戦争のために国家と軍隊の安全をすべてに優先させ、民衆の生活も基本的人権も軍靴で踏みにじるものだ。
全国で「改憲・戦争阻止!大行進」に結集し、今秋改憲阻止決戦を大爆発させよう。
本号をそのための総特集としました。
第1章は、なぜ安倍首相が改憲・戦争の攻撃に出ているのか、全面的に明らかにしている。
第2章は、改憲の攻撃と一体となって進んでいる軍拡・共謀罪など6項目を提起している。
第3章は、改憲・戦争阻止ではなく、改憲・戦争賛成の日本共産党を批判している。
第4章は、7・1国鉄集会における国鉄労働者、教育労働者、自治体労働者、全学連の発言、そして星野再審連絡会議の決意表明です。
第5章は資料「繰り返すな戦争シリーズ」です。
ぜひ活用してください。

 

国際労働運動vol.35-核戦争を許すな 全原発なくそう

国際労働運動vol.35『核戦争を許すな 全原発なくそう』を刊行。全国の書店で発売中(500円+税)。電子書籍版も発売中(Amazon Kindle、400円)。

■羅針盤/8・5―6ヒロシマ大行動へ

核戦争を許すな 全原発なくそう
■安倍政権の改憲・戦争・核武装阻止!
■被曝労働拒否を貫く労働運動の前進を

はじめに

第Ⅰ章 被曝強制・福島圧殺攻撃許すな! 福島と団結し打ち砕こう
①甲状腺検査の縮小・打ち切り絶対許すな
②福島第一原発事故/トリチウム水海洋放出狙う
③中間貯蔵施設と公共事業で大量被曝が不可避

第Ⅱ章 核武装―核戦争に踏み出す意図あらわの安倍政権打倒0
①日米原子力協定延長と日帝のプルトニウム保有
②子ども被曝させる運動掲げる復興庁・強化戦略
③『福島「差別」本』の主張は核戦争容認に行き着く

第Ⅲ章 被曝労働拒否の労働運動で再稼働阻止、全原発廃炉へ8
①動労水戸は常磐線の全線開通阻止へ闘いぬく
②地元の先頭で原発と闘う京都府職労舞鶴支部
③伊方原発をこのまま廃炉に、愛媛県職労の闘い
④都庁闘争を東京の被曝労働反対の闘いの拠点に

第Ⅳ章 動労福島、ふくしま共同診療所先頭に国際連帯で闘おう
①改憲と戦争(核戦争)阻止、全原発廃炉へ
②「避難・保養・医療」貫く共同診療所を守ろう
③ふくしま共同診療所・布施幸彦院長インタビュー
④韓国の反原発闘争・サムチョク(三陟)の闘い

●学習論文
第一次世界大戦突入時のドイツ階級闘争(上)

■マルクス主義・学習講座
一から学ぶ『共産党宣言』(第2回)

(一部内容紹介)

核戦争を許すな 全原発なくそう
■安倍政権の改憲・戦争・核武装阻止!
■被曝労働拒否を貫く労働運動の前進を

【はじめに】
6月12日に開催された米朝首脳会談は、「平和をもたらす」ものではない。それは、南北朝鮮や世界の労働者人民の「平和の願い」「南北統一の願い」を踏みにじり、逆に労働者人民への抑圧を強め、新たな世界戦争・核戦争の扉を開くものだ。会談の翌週にも始まるとされていた高官協議もまだ行われず、すでに破綻が見えつつある。
今回の会談は、韓国においてパククネを打倒した民主労総のゼネストとロウソク革命の力、そしアメリカ・全世界で闘いぬかれている労働者のストライキ・闘いを圧殺することが目的だ。それをとおして、東アジアの革命、アメリカ―世界における革命を封殺し、資本主義の延命を図ろうとしているのだ。他方で米朝首脳会談は、トランプの歴史を画する保護主義の発動と一体のものであり、帝国主義間・大国間の争闘戦を一段と激化させ世界戦争へとつながる戦争外交そのものだ。
1939年から始まる第2次世界大戦にいたる過程でも、各国帝国主義やスターリン主義との間で戦争外交が激しく展開された。1939年8月23日、ナチス・ヒトラーのドイツ帝国主義とスターリン主義のソ連(ロシアの旧国名)との間で〝互いに攻撃しない〟ことなどを取り決めた「独ソ不可侵条約」が結ばれた。それは「共産主義とファシズムが手を結んだ」と、世界に衝撃を与えると同時に、〝平和の到来〟とも語られた。
だが、これで「平和」が来ることはなかった。39年9月1日、ドイツがポーランドに攻め込み、イギリス・フランスがドイツに宣戦布告(41年12月には日米の戦争も始まる)。世界で5千~8千万といわれる犠牲者(ほとんどが労働者・農民)を出した残虐な世界戦争に突入していったのだ。

「資本主義を存続させるための戦争」
「戦争は好戦的な指導者がいるから起こる」とか、「平和政策に転換すれば戦争は回避できる」というようなものではない。
ロシアのプロレタリアートとともにロシア革命を実現したレーニンは、第1次世界大戦の渦中で次のように言い切った。資本主義の行う戦争は「資本主義を人為的に存続させるための『大』国間の武力闘争」(『社会主義と戦争』)であると見抜き、「いずれの国の政府も支配階級も植民地の略奪、他民族の抑圧、労働運動の弾圧の政治をおこなってきた……このような政治が、ただこのような政治だけが、いまの戦争において継続されている」(同)と、眼前で展開されている戦争の本質を捉えきった。
米朝首脳会談もこのような戦争への道の始まりだ。しかし、世界の労働者の団結した力で戦争をとめることができる。ロシアの労働者・農民は1917年10月(旧暦)、ロシア帝国主義を打倒し、戦争を終結させた。その闘いに学ぼう。日韓米、そして全世界の労働者人民の団結した力で帝国主義とスターリン主義を打倒することこそ、本当に戦争をなくす道だ。

核武装を狙う日帝・安倍政権
このような世界戦争情勢の中で、国際政治からはじき飛ばされ、危機を深めているのが日帝・安倍政権だ。安倍政権はこの危機を突破し帝国主義として生き延びるために、改憲と軍事大国化・核武装の道に突き進んでいる。
安倍政権は7月3日、「第5次エネルギー基本計画」を閣議決定した。この中で、原発の再稼働や輸出の推進とともに、核兵器の原料として必要なプルトニウム確保のための「核燃サイクルの推進」を決定したことは重大事態だ。
他方で米帝は、日帝に向けて「プルトニウムの削減と、核燃サイクルからの撤退が必要」と主張している。今後、「軍事と核」という帝国主義としての根幹にかかわる領域で日米帝間の軋轢がいっそう激しくなることは避けられない。争闘戦の側面でも、労働者人民の怒りが充満し闘いの爆発は不可避という国内の支配の側面でも、日帝の危機の深刻さは計り知れない。

福島帰還強制・被曝強制
この中で安倍政権は、労働法制改悪=労働組合の解体と労働者人民の闘いの破壊に全力をあげ、改憲・戦争(核戦争)の道に踏み出している。とくに沖縄への攻撃と同時に、福島の怒りの圧殺にいっそう死活をかけている。そのために、避難指示を次々に解除して被曝を強制し、甲状腺検査の縮小・打ち切り攻撃を加速させている。
昨年12月に復興庁が発表した『風評払拭・リスクコミュニケーション強化戦略』は、「福島県では放射能の安全性が確保されている」と主張し、全国の子どもたちに福島産の食品を食べさせ、福島に修学旅行に行かせる「運動」まで大々的に組織しようとするとんでもない内容だ。
これと一体のものとして、日本共産党の学者などが中心となって執筆した『しあわせになるための「福島差別」論』という本が今年1月に発刊された。この本は「これまで見つかった甲状腺がんは、原発事故が原因ではない」「見当外れな放射線への恐怖心」とまで言い放っている。恐るべき点は、この主張が核戦争を容認する内容を明白にはらんでいることだ。ここには明らかに、共産党中央の歴史的踏み切りがある。
改憲・戦争阻止!大行進運動を全国で大展開することが死活的となっている。8・5国際反戦反核集会―8・6ヒロシマ大行動の大成功を実現しよう。国際連帯の力で戦争も改憲も阻止しよう。

 

最前線ブックレット№2-築地を守り豊洲をとめる 小泉義秀

最前線ブックレット№2-築地を守り豊洲をとめる(小泉義秀著)を刊行しました。全国の書店で発売中(500円+税)

―10・11移転は破綻に直面―

■毒物汚染・欠陥構造・ウソと耐震偽装・利権と民営化

本ブックレットは、緊迫した築地の豊洲移転阻止の闘いの現状を伝える。
10月11日に豊洲への移転を小池知事は一方的に決めたが問題山積。移転などできる状態ではない。ベンゼンなどの毒物は噴き出し、耐震偽装が暴かれ、建設された仲卸棟は欠陥構造で使いものにならない。
仲卸業者を中心に豊洲移転絶対反対の声がわきあがるのは当然だ。仲卸業者の人たちは築地で代々家業を受け継いで働き、築地を世界の築地にしてきた人たちだ。その人たちが小池都知事に「ノー」を突きつけた。
6月29日、仲卸業者の5人が小池都知事を被告として耐震偽装で豊洲市場棟の使用禁止求め提訴した。さらに6月21日には仲卸有志と築地女将さん会が発起人となる「築地市場営業権組合」が発足している。
筆者の小泉義秀さんは、合同・一般労働組合全国協議会事務局長として築地の闘いに取り組んできた。

(目次)

プロローグ第1章 「命の源」築地
1 築地83年の歴史
2 豊洲移転も森友・加計と同じ国家犯罪だ
第2章 4・14豊洲移転阻止集会で仲盛昭二さんが講演
第3章 10・11豊洲移転を止める訴訟へ
1 耐震偽装、鉄量が44%不足している!
2 仲盛さんは日建設計と東京都に質問状を書いた
第4章 いかなる意味でも豊洲移転はありえない
1 安全宣言出せない小池都知事、「築地女将さん会」が緊急声明
2 水銀濃度が上昇、地下水の水位が下がらないことを自認
3 地下に埋もれた毒物を除去することはできない
第5章 卸売市場法改悪と豊洲移転の狙い
1 今国会で強行採決された卸売市場法改悪案
2 豊洲は物流センター! 卸売市場ではない
3 日本農業の根幹を破壊する種子法の廃止
第6章 小池の東京都丸ごと民営化攻撃を許すな!
1 国家戦略特区は加計学園事件の道だ
2 米軍横田基地は必要不可欠、オスプレイ賛成、住民の安全考慮せず
3 安倍の「働き方」改革の先兵=小池都知事
4 小池都知事の学歴詐称疑惑に新たな証人
第7章 利権と放射能まみれの東京オリンピックは返上を
第8章 築地と地域の団結で豊洲をとめる
●資料  技術回答書
東京都豊洲市場水産仲卸売場棟の設計が建築基準関係法令・規定に違反

国際労働運動vol.34-労働組合の力で いのちを守る

国際労働運動vol.34『労働組合の力で いのちを守る』を刊行。全国の書店で発売中(500円+税)。電子書籍版も発売中(Amazon Kindle、400円)。

■羅針盤/国鉄解雇撤回の7・1集会へ

労働組合の力で いのちを守る
■社会保障壊し改憲先取りする安倍
■労働者と地域の団結で反撃しよう

第1章 公的年金崩壊・改悪許すな
1 障害者、高齢者の生存脅かす制度改悪
2 社保庁解体、業務の外注化で破綻が加速
3 株価つり上げへ投資あおる ―確定拠出年金導入阻止を
コラム1 高齢者の貧困率

第2章 命を守る医療福祉ストライキ
1 「患者の選別」を強いる医療現場への激変
2 利用者の選別―公的介護の解体との闘い
3 ドキュメント・高槻医療福祉労組ストライキ
4 医療福祉労働者は改憲・戦争阻止の先頭に
コラム2 「評価制度」絶対反対の地労委闘争を闘って

第3章 子育てを労働者の手に取り戻す
1 今、保育の現場は
2 安倍の「安心プラン」は労組破壊
3 子育てを私たち労働者の手に
4 闘う労働組合をつくろう!
コラム3 生活保護費削減と障害者解雇

第4章 生活保護費削減と障害者解雇
1 生活保護関連4法の改悪
2 改憲と生活保護費削減
3 障害者雇用をめぐる闘いの開始
コラム4 北九州市おにぎり餓死事件

第5章 住宅奪う国と資本に反撃を
1 都営霞ヶ丘アパート ―五輪で2度も立ち退き強制
2 福島原発事故避難者への住宅支援打ち切り
3 日本郵政が住宅手当廃止へ ―狙いは総非正規職化
4 個人請負で福利費負担逃れる資本に反撃

NEWS & REVIEW
韓国/労働の解放と平等な世の中をつくっていこう
ヨーロッパ/内外の争闘戦に揺さぶられるEU

■マルクス主義・学習講座 一から学ぶ『共産党宣言』

(一部内容紹介)

労働組合の力で いのちを守る
■社会保障壊し改憲先取りする安倍
■労働者と地域の団結で反撃しよう

はじめに
▼消費増税と社会保障費削減が襲いかかる
5月28日、経済財政諮問会議は骨太方針の骨子案として、来年10月の消費税10%化とともに、景気対策に巨額の予算を組むことを明記しました。
そもそも消増税は、富裕層以上に貧困層からなけなしの生活費を奪い取るものです。その消費税の増税分をも当て込んで、大資本にさらに数兆円規模の税金を投げ与えようというのです。
同時に、社会保障費削減の大宣伝が進められています。5月22日付日経新聞は1面で、2040年度には「社会保障費190兆円に」とあおり、「給付抑制避けられず」と結論づけました。
▼改憲と戦争、「働き方改革」と一体
大増税と社会保障破壊は、改憲・戦争と一体であり、その先取りです。
自民党は5月25日、政府が年末に策定する新たな防衛大綱と中期防衛力整備計画への提言として、防衛費の対GDP(国内総生産)比1%枠の突破と、空母や巡航ミサイルなど敵基地攻撃能力の保有を求めました。改憲と共に大軍拡を進めて、侵略戦争に突き進む宣言を発したのです。その財源はいっそうの消費大増税です。
新自由主義が非正規職化と貧困、過労死を蔓延させてきました。「働き方改革」がこれをさらに進めます。資本主義の安全弁であった社会保障制度を、今や国と資本の側が破壊しています。社会を成り立たせている労働者が労働組合に団結し、怒りを爆発させて立ち上がる時が来ています。
◇   ◇
本特集は、年金、医療・介護、保育、生活保護と障害者雇用、住宅をテーマに、社会保障破壊の攻撃に対し、労働組合の力で命を守る闘いが始まったことを示します。
第1章は「公的年金崩壊・改悪許すな」。公的年金の崩壊が止まりません。保険料を払えない労働者、「老後破産」の危機が社会を覆っています。「我慢」を強い、取り立てを強め、手持ちの金を運用しろと迫る国家。これに労働者がどう立ち向かうべきかを明らかにします。
第2章は「命を守る医療福祉ストライキ」。今年の春闘で、高槻医療福祉労組は患者・利用者など地域と結ぶ「命を守るストライキ」を打ち抜きました。「命よりカネ」の新自由主義と闘い、「地域からの反乱」の先頭に立つ闘いとして、医療福祉労働運動の今日の地平と展望を示します。
第3章は「子育てを労働者の手に取り戻す」。今、保育所はどこも「戦場」です。保育の現場にかけられている激しい規制緩和と民営化、非正規職化が何をもたらしているか、本来の保育とは何かを考え、保育労働者と保護者の共同の闘いの展望を明らかにしていきます。
第4章は「生活保護費削減と障害者解雇」。安倍政権のもとで急激に進む生活保護費の削減と生活保護制度の解体が憲法改悪そのものであることを暴き、「働き方改革」の柱の一つとされる障害者の雇用と解雇をめぐる闘いが始まったことを報告します。
第5章は「住宅奪う国と資本に反撃を」。「衣食住」という言葉がある通り、衣服をまとい、食べることと共に、住居は人々が生きていく上で必要不可欠なものです。ところが国や行政が公営住宅から住民を追い出し、資本は労働組合の屈服をテコに住宅手当の廃止に走っています。これに怒り、住民も労働者も立ち上がっています。住宅を奪う攻撃とその狙い、これとの闘いを明らかにします。

序局第18号-改憲・戦争阻止の大行進

序局第18号を発行しました。全国の書店で発売中(900円+税)。

安倍政権を倒す時は今

3月25日に発足した改憲・戦争阻止!大行進運動の発展へ、意欲的な企画が並んでいます。日本帝国主義の危機を明かす井上論文、大行進の呼びかけ人になった西川重則さんのインタビュー、婦民全国協からの慰安婦問題での訴え、横須賀基地と闘う呉東弁護士の集会講演。
資本、権力、右翼から攻撃を受けている関生支部の武建一委員長のお話は、不屈の実力闘争がどれほど資本家階級に脅威になっているかを教えてくれます。
7年目の3・11反原発福島行動を闘った動労水戸の石井真一委員長とふくしま共同診療所の布施幸彦院長の対談は、常磐線全線開通反対、被曝と帰還の強制反対の二つの署名運動の現状、意義を豊かに語っています。連載では、葉山岳夫弁護士の第8回目が、破防法裁判闘争の歴史を語って非常に興味深い内容です。
(破防法研究会『序局』編集委員会)

改憲・戦争阻止の大行進

戦争・改憲に向かう日本帝国主義の危機 安倍政権の改憲攻撃を打ち破る「大行進」運動を 井上 学

国会傍聴18年  西川重則さんの思い 戦争は絶対にしてはならない―天皇の戦争責任追及は私の原点

慰安婦問題を開き直る安倍を倒そう ハルモニと共に12・16川崎集会に取り組んで 『婦人民主クラブ』編集長 川添 望

横須賀から見える朝鮮戦争 イージス艦事故と原子力空母 弁護士 呉東正彦

世の中をひっくり返すいいチャンス 関生支部つぶしには負けない
全日本建設運輸連帯労組関西生コン支部 武建一委員長に聞く

関生支部への攻撃に対し連帯闘争のアピール

被曝と帰還の強制に反対する 被曝労働拒否、避難・保養・医療の7年間と今後
対談 動労水戸委員長 石井真一×ふくしま共同診療所院長 布施幸彦

ふくしま共同診療所初代院長 松江寛人先生を悼む 福島診療所建設委員会事務局長 渡辺 馨

『労働運動の変革をめざして』を学ぶ JR東労組崩壊情勢の中で光彩放つ 動労西日本執行委員 野口照生

「トランプの州」を覆す全州学校スト 全米に広がる21世紀世代の新たな組織化 村上和幸

『THE PROMISE/君への誓い』アルメニア人大虐殺を映画化 中島偉晴

労働裁判の最前線から/労働者と歩む弁護士レポート
外注化・出向/動労総連合―出向無効確認訴訟・控訴審 森川文人 石田亮 花澤俊之 鈴木達夫
民事免責を無視した不当判決 小竹運輸グループ訴訟 藤田城治 酒井健雄 小竹広子
「働き方改革」法案の狙いと正体 3・15学習会講演抄録 山本志都

連載 経済先読み ⑯ 株価暴落し再バブル崩壊/保護主義の報復合戦に 島崎 光晴

連載 白井佳夫の現代映画論講座 《第二部・第17回
赤狩りで喚問され同志を売った映画監督エリア・カザン 〈その3〉

獄中記⑥  迎賓館・横田爆取弾圧で水戸刑務所在監 本誌編集委員 十亀弘史

連載 労働者農民とともに歩んで60年  葉山岳夫弁護士に聞く
第8回 三里塚と動労千葉 第8回 破防法裁判闘争20年の歩み

国際労働運動vol.33-シリア戦争 米ロ激突の理由

国際労働運動vol.33『シリア戦争 米ロ激突の理由』を刊行。全国の書店で発売中(500円+税)。電子書籍版も発売中(Amazon Kindle、400円)。

■羅針盤/南北会談をどう考えるのか

内戦のシリア 米ロ激突の理由
■米英仏がシリアをミサイルで攻撃
■ロシアが政府軍を支え主導権握る

はじめに

Ⅰ トランプのシリア攻撃許すな――政府軍の化学兵器使用はデマ
シリア空爆に巡航ミサイル105発 / 化学兵器使用は米のでっち上げ / 米ロ対立が激化、世界戦争の口火切る / 貧弱な軍事的成果 / 戦争で危機乗り切りたくらむトランプ / トランプの戦争支持する安倍倒そう

Ⅱ 後退する米帝の中東支配――侵略戦争の激化で巻き返し狙う
ロシア、トルコが軍事介入 / クルド人武装勢力の利用 / シリアの石油・天然ガス資源が狙い/ トルコの激甚な反撃 / ロシアとの力関係の変動 / 和平交渉からの米帝の排除/ 米帝の危機乗り切り策の強化

Ⅲ 中東諸国の対立激化と米ロ――領土と資源をめぐる奪い合い
ロシアと米帝の対立の激化 / イランとの対立も激化 / 中東の石油・天然ガスをめぐる争奪戦 / イエメン戦争の拡大 / カタールのイラン接近をめぐる対立激化 / イラク政府とクルド自治政府の激突

Ⅳ トルコ、イラン労働者の闘い――全世界で反戦運動が大高揚
戦時下でのトルコ労働者の闘い / 反戦運動弾圧との闘い / イランの労働者階級の歴史的決起 / 新自由主義政策の全面化の結果 / 軍事介入、軍事予算増の矛盾しわよせ / シリア空爆に対する反戦運動の拡大 / 新局面に入った米反戦運動 / ILWUの歴史的ストライキ

NEWS&REVIEW
韓国/南北分断打破=統一に向け闘う民主労総
アメリカ/全米に広がる教育労働者の巨大ストライキ

■社会保障解体と闘う(26)関西保育集会でつかんだ確信

●マルクス主義・学習講座
『国家と革命』を読む(第3回)

(一部内容紹介)

シリア戦争 米ロ激突の理由
■米英仏がシリアをミサイルで攻撃
■ロシアが政府軍を支え主導権握る

はじめに
帝国主義の新自由主義政策の全面的破産と、2008年リーマン・ショック以降の世界大恐慌を乗り切ろうとする強引な政策の限界がついに露呈し始めている。こうした帝国主義世界経済の全面的崩壊の危機のなかで、その絶望的な乗り切りをかけて米帝をはじめとする帝国主義諸国は4月のシリア空爆をもって激烈な侵略戦争、帝国主義戦争へと突進している。
それは東アジア、ウクライナ、中東の3正面で帝国主義とロシア、中国などが激突する世界戦争情勢をますます激化させ、世界の多数の国を巻き込む核戦争の危機をもたらしている。
とりわけトランプ政権のこの3正面における戦争激化政策は急速に世界戦争情勢を成熟させている。これに対して、ロシア・中国も対抗的軍事政策を急速にエスカレートさせている。また、国内政治危機とアベノミクスの破産という断末魔の危機にのたうつ日帝・安倍政権も、改憲と東アジアでの侵略戦争と領土・資源をめぐる帝国主義間争闘戦に必死だ。まさに人類を滅亡させかねない第3次世界大戦の危機が切迫しているのだ。
これに対して全世界の労働者階級は激しい危機感をもって、始まる前に戦争を阻止しようという決意を固めて立ち上がり始めている。全世界の労働者階級は侵略戦争阻止、「侵略を内乱へ」の闘いを通じて帝国主義とスターリン主義を打倒しよう。本論は以上の立場から現在の中東危機の現実を明らかにし、この危機を真に乗り越える道は何かを明らかにしたい。
第Ⅰ章では、4月の米英仏によるシリア空爆の侵略戦争としての性格と、それが世界戦争危機を急速に促進するものであることを明らかにする。
第Ⅱ章では、中東における米帝の支配体制の崩壊的危機の乗り切り策の破産の現実を暴露する。
第Ⅲ章では、米帝の中東支配力の低下に伴う中東諸国家間の対立の激化と中東における大戦争情勢の成熟について論じている。
第Ⅳ章では、戦時下における中東諸国の労働者人民の不屈の闘いと世界各地における反戦闘争の新たな発展について明らかにした。

国際労働運動vol.32-米軍事故続く沖縄 全島ゼネストを

国際労働運動vol.32『米軍事故続く沖縄 全島ゼネストを』を刊行。全国の書店で発売中(500円+税)。電子書籍版(アマゾンkindle)も発売中(400円)。

羅針盤/「改憲・戦争絶対阻止大行進」を

米軍事故続く沖縄 全島ゼネストを
■改憲・戦争絶対反対 5・15沖縄闘争へ
■IJBS労組冨田委員長解雇撤回せよ

はじめに

Ⅰ 子どもの命おびやかす米軍――ゼネスト・蜂起を求める声
⑴ 「ひこうきのおなかが見えるよ~」
⑵ 朝鮮侵略戦争の実戦訓練の激化と米軍の危機の進行
⑶ 米帝と対抗して朝鮮侵略戦争への参戦狙う日帝・安倍
⑷ 〈オール沖縄〉の崩壊と労働者階級の新たな闘いの開始

Ⅱ 国際連帯と階級的労働運動を――戦後沖縄の闘いを継承発展させ
⑴ 1950年朝鮮戦争下での闘い
⑵ 沖縄人民党と瀬長亀次郎の役割は?
⑶ 沖縄非合法共産党の結成と、朝鮮戦争下の労働運動の開始
⑷ 沖縄非合法共産党と島ぐるみ闘争
⑸ 69年2・4ゼネストの「挫折」と新たな労働者党建設への挑戦
⑹ 基地労働者を軸とする国際連帯闘争とスターリン主義との闘い

Ⅲ 富田委員長、ストで反撃――IJBS労組6年の闘いの教訓
⑴ 2010年~2012年・労働組合の結成まで
⑵ 2012年2月・労組結成とK組合員への解雇
⑶ 2012年~・職場革命/組合結成後の闘い
⑷ 2013年・仲宗根書記長への解雇攻撃/13年~15年・地労委・裁判闘争
⑸ 2015年6月・S組合員の決起。パワハラ=団結破壊との闘い/初のストライキ闘争
⑹ 2015年~ 16 年・部署解体攻撃に対する反合理化闘争/17年・限定正社員制度・18年問題との対決/18年3月・富田委員長への雇い止め解雇との闘いへ

●5・15沖縄闘争へ結集しよう
「戦争と貧困」を打ち破り、青年・学生の大決起を!
沖縄大学学生自治会

Photo News

News & Review
韓国/民主労総3・24全国労働者大会に2万人が結集
ヨーロッパ/激動するポーランド・イタリア情勢

◆社会保障解体と闘う(25)札幌生活困窮者共同住宅火災

■マルクス主義・学習講座 『国家と革命』を読む(第2回)

(一部内容紹介)

米軍事故続く沖縄 全島ゼネストを
■改憲・戦争絶対反対 5・15沖縄闘争へ
■IJBS労組富田委員長解雇撤回せよ

はじめに

2018年は、米日韓の朝鮮侵略戦争が歴史的に切迫し、安倍政権が2020年に向けての改憲攻撃を全面化させることに対しての、日本と全世界での労働者階級の澎湃たる決起の中で闘われています。安倍政権は改憲攻撃と一体で天皇制攻撃を大々的に繰り出してきています。この3月末には天皇アキヒトが来沖しました。
さらに2018年には、安倍政権による「働き方改革」という名の、労働者階級への全面的な階級戦争が仕掛けられようとしています。この攻撃の核心は総非正規職化攻撃を通した労働者階級への団結破壊であり、基礎的な団結形態である労働組合の変質と解体を狙う攻撃です。その狙いは日本の労働運動の全面的な産業報国会化です。
しかしこの攻撃は、昨年の衆院選の過程で全面化した安倍によるUAゼンセンを先兵とした連合の乗っ取り策動の破産と、連合それ自身の崩壊情勢を生み出しました。そしてついにJR東労組カクマルを大崩壊にたたき込みました。総評解散―連合結成以来の約30年にわたる日本の労働運動の産業報国会化の歴史的破産であり、主体的に言えば動労千葉―動労総連合と全国の動労千葉派による国鉄闘争の不屈の全国的展開が安倍政権と連合幹部(とりわけ改憲勢力そのものであるUAゼンセン)と、何よりもJR東労組カクマルの狙いを根底で破産させた歴史的事態です。
このような中で闘われる2018年の5・15沖縄闘争の課題と方針を考えていきたい。
第Ⅰ章は、今日の沖縄を取り巻く情勢を見ていきます。その核心は新自由主義の崩壊と一体で劇的に進行する米軍の崩壊的な危機の現実です。
第Ⅱ章は、戦後沖縄の労働運動と階級闘争から、階級的な労働組合と労働者党の一体的な建設に向けた沖縄の労働者階級の闘いを捉え返していきます。この課題の核心は、日本共産党スターリン主義の根底的批判とその実践的な乗り越えです。これは今日的には〈オール沖縄〉批判と重なります。
第Ⅲ章は、第Ⅱ章を受けた実践である階級的労働運動への挑戦としての日本IBM・ビジネスサービス(IJBS)労働組合の闘いの歴史です。

国際労働運動vol.31-まるわかり 労働法制改悪

国際労働運動vol.31『まるわかり 労働法制改悪』を刊行。全国の書店で発売中(500円+税)。電子書籍版(アマゾンkindle)も発売中(400円)。

■羅針盤/3・25改憲阻止日比谷集会へ

まるわかり 労働法制改悪
■労基法解体・正社員ゼロを狙う安倍
■連合打倒し国鉄決戦軸に反撃しよう

はじめに
第1章 「働き方改革」と闘おう
1 労働法制改悪攻撃の全体像
2 労働人口の減少が最大のインパクトに
3 人口減少に向けた提言 ―「働き方の未来 2035」―
4 「働き方改革実行計画」とは?
5 「働き方改革」関連8法案批判
6 改憲攻撃と一体の「働き方改革」
7 労働者に敵対する連合・UAゼンセン
コラム1 安倍の「一億総活躍社会」

第2章 「2018年問題」とは何か?
1 無期転換攻撃とは何か
2 無期転換を阻む資本
3 労働契約法とは
4 自治体にも非正規を拡大 ―会計年度任用職員問題―
5 改悪派遣法との闘い ―もう一つの2018年問題―
コラム2 多様な正社員制度

第3章 労働運動再生のために
1 生きさせろ! 労働者の置かれた状態
2 非正規職がここまで増えたのはなぜか
3 CTSにおける無期転換の闘い
4 全国で始まった無期転換との攻防
5 労働者が団結し、反撃すれば勝てる
6 国鉄決戦の爆発で「働き方改革」粉砕

PHOTO NEWS

NEWS & REVIEW
アメリカ/トランプ政権の保護関税政策
日本/日本版海兵隊=水陸機動団発足

■社会保障解体と闘う(24)診療報酬・介護報酬ダブル改定

■マルクス主義・学習講座 『国家と革命』を読む(第1回)

(一部内容紹介)

まるわかり 労働法制改悪
■労基法解体・正社員ゼロを狙う安倍
■連合打倒し国鉄決戦軸に反撃しよう

はじめに

▼危機に立つ安倍政権を打倒しよう
2月28日、安倍首相は、「働き方改革」関連一括法案のうち裁量労働制を拡大する改悪案を削除すると発表した。日本中に大激震が走っている。労働者階級の怒りが安倍を追い詰めた。安倍の危機は深い。今こそゼネストで安倍を打倒しよう。
裁量労働制を削除した残りの法案の提出が3月末以降に持ち越された。廃案に向けて大きな流れが一挙に生み出されている。「働き方改革」そのものの本質が、ウソとデタラメで塗り固められていることが明らかになった。
この情勢は「裁量労働制で働く人の労働時間は、一般労働者より短いというデータもある」という安倍の自信満々の国会答弁からすべてが始まった。だが、厚生労働省はウソをねつ造するために、ありえない異常な数値まで使い、偽のデータをでっち上げたことが発覚したのだ。
森友・加計問題に続き、ウソをついてでも、事実をねじ曲げてでも法案を強行採決しようという安倍のあり方に、一気に怒りの声が噴出した。
「働き方改革」関連法だけではなく、安倍政権そのものを吹き飛ばすチャンスだ。

▼改憲に突進する安倍
安倍政権は2020年に新憲法施行へ向け突進している。この核心は憲法9条を変え、「戦争のできる国」へ転換することだ。
この安倍政権と同時に、米トランプ政権は、核政策を抜本的に転換させ、「抑止」から「使用」に向けた核戦略見直し(NPR)を発表した。東アジア―世界で戦争の危機が深まっている。
戦争の急速な接近と一体のものとして出されたのが、安倍の「働き方改革」だ。安倍はこの通常国会を「働き方改革国会」と位置づけ、「誰もが能力を発揮できる、柔軟な労働制度へ抜本的に改革する。労働基準法施行70年ぶりの大改革だ」と言い放った。
改憲の本質的な狙いは、9条解体とともに労働基本権―団結権の解体である。戦後労働法制を徹底的に解体し、階級支配を転換させる、まさに「戦後レジームからの脱却」だ。まぎれもなく改憲と労働法制が最大の激突点にせり上がっている。

▼「2018年問題」使った大量解雇
これらと一体で、いわゆる「2018年問題」―3月末の大量解雇との闘い、無期転換をめぐる攻防が展開されている。「改正」労働契約法の施行から5年を迎え、18年4月1日に向けて「無期転換」をめぐって各地で闘いが巻き起こっている。
08年リーマン・ショックから10年を迎える2018年は非正規労働者に対する重大な攻撃との大決戦の年となっている。

▼国鉄決戦で「働き方改革」粉砕を
「働き方改革」をめぐる攻防と一体で、国鉄決戦が重大な局面を迎えている。JR東日本は、東労組との「労使共同宣言」を破棄し、水平分業・転籍攻撃に向けて大きく舵を切った。東労組の万を越える脱退・離反は、国鉄分割・民営化以来の大情勢の到来を意味している。青年をはじめJR労働者の意識は急速に流動化している。この歴史的決戦に飛び込み、動労総連合の飛躍をかちとろう。国鉄決戦を軸に、「働き方改革」粉砕、労働法制改悪の闘いを爆発させよう!
◇   ◇
本特集は、安倍の労働法制改悪の核心点を暴く。
第1章は、安倍の「働き方改革」を暴露する。
第2章は、無期転換問題の核心を描く。
第3章は、国鉄決戦を軸にした闘いの展望。
ぜひ今号を学習会のパンフレットとしても活用していただきたい。